第415号(1993年6月1日号)


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中華航空、台北=ホノルル線開設 沖縄からも低料金発売

 中華航空は七月から台北=ホノルル間の定期航空路線を開設する。木曜、日曜の週二便だが、定着しだい増強して行く。台湾の経済発展に伴い、海外旅行が盛んで最近ではより高級な旅行が好まれることから、世界一の高級リゾートハワイの需要も高まり、これに答えたもの。

 これまで中華航空は東京経由でハワイに運航していたが、今回の直行便の開設で台湾のハワイ熱は一段と活発になり、沖縄をリゾート目的にしていたのがハワイにシフトすることも考えられる。まだ沖縄からハワイヘの旅行はこれまで東京、大阪、グアム経由などがあったが今後は台北経由のルートも利用できることになり、中華航空の台北=ハワイ直行便は沖縄とも関係が深い。

 県内の各旅行社では中華航空を利用して台北経由で行くハワイ旅行の発売を始めている。パック旅行で三泊五日、四泊六日のコースを組んでいるが、大体十三万円台でこれまでのハワイ旅行では最も安い料金となっている。沖縄から行くときは台北で二時問の待ち合わせて接続するので最も短い時間でハワイへ到着する。

 中華航空は台北からグアム、マニラ、バリ、プーケット(タイ)、ハワイ、ロス、シスコ、ニューヨークなど太平洋路線を充実させており。今回のハワイ直行便開設で競争力はさらに強化され、台湾の旅行マーケットにも大きな貢献をする。

■多様化する台湾

【解説】中華航空が台北=ホノルル間の直行便を開設することは沖縄にも影響することが懸念される。高度経済成長を遂げた台湾は日本以上に海外旅行が盛んだ。台湾からの行く先は日本がトップだが、最近は大陸へも関心が高く、日本に取ってかわる勢いである。

 しかし、台湾でもリゾート熱や高級志向が強く、これまでの香港などを含めた東南アジア旅行から世界中の高級観光地への好みが高まっている。中華航空がホノルル線を開設したのはこの高級志向にターゲットを合わせたもので、今後多様化する旅行傾向が日本離れを引き起こす可能性がある。

 沖縄はこれまで最も近い日本、歴史的に関係が深い地域として親しみをもたれ、年間十八万人前後の観光客があったが、今後はリゾートの先進地、ハワイへ流れる心配がある。実際、最近では宿泊も沖縄の高級リゾートを使用する傾向が増えつつあった。

 加えて、日本のドル高がある。それに今回の日本向け航空運賃の一〇%引き上けが重なり、沖縄にとってはマイナス材料が重なる。問題は台湾観光客の受け入れ態勢で、言葉の問題をはじめ外国人へのサービスシステムの充実が急がれる。

 中華航空沖縄支店の喜納支配人は「沖縄への需要は依然として強いので、円高、運賃値上げ、ホノルル線開設は影響ないのてはないか」とみている。しかし、いずれハワイやグアムと比較され沖縄への注文も厳しさを増す事は確実で、沖縄を取り巻く海外との競争が一層激化することは確実だ。


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観光文化局 補正予算を要求、異例の取り組み危機感深刻

 沖縄県は国の総合景気対策に連動して六月の補正予算を組むが、これまで公共投資が中心だった六月補正予算で初めて観光誘客キャンペーンのための予算を要求した。

 県観光文化局の瑞慶覧・局長によると「夏場までは好調な入込が続くものと見られるが、九月以降の旅行需要の見通しが不透明で、六月にも手を打って秋以降の需要喚起に取り組みたい」として いる。

 観光文化局では九月以降の需要喚起には少なくとも三ヶ月前からのキャンペーンが必要で、予算が付けば即実行に移す。

 キャンペーン内容は検討中で、南西航空の東京=宮古線、エアーニッポンの高松線開設などと絡めるかどうかも含めて関係団体と協議してアイデアをまとめる。

 県が景気の先行き不透明感からキャンペーンなど具体的な対策をとるのは異例で、六月補正でソフト面の予算を要求するのも初めて。


■補正はダメ、公共工事だけだ

 県観光文化局は六月補正予算で一億円のキャンペーン予算を要求しようとしたが、公共工事関連に限るという財政当局の判断から要求を取り下げた。しかし、秋口からの需要喚起策がどうしても必要として、今後財政課に対して予算の前倒しを求めていく。(第417号記事)


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民放TV2波割り当て諮問 地元の事情

 沖縄に第三、第四のテレビ局がいよいよ実現しそうだ。郵政省は五月二十一日に電波監理審議会に電波割り当ての諮問を行った。順調にいけば六月末にも答申を受け、直ちに免許申請を受け付ける。調整をしたうえで来年春には予備免許を交付、二年後には電波が発射される段取りだ。だがネットワークの問題や地元の経済界の取り組みなどさまざまな動きがある。以下、新テレビ局の内幕。

代議士が引き延ばし

■割り当て諮問

 郵政省は各県四波態勢を推進してきた。全国的に四波に充たない県は沖縄県をはじめ三、四県に過ぎない。沖縄の第三、第四局電波割り当て問題はこの二、三年前から急浮上した。第三、第四局 が開局すると最も打撃を受けるのは既存局の沖縄テレビ、琉球放送である。

 地元の広告スポンサーは限られているので、経営にも大きな影響を受けるのである。そこで国会議員など動員して割り当て引き伸ばしの動きに出た。電波割り当てをするには電波監理審議会に諮問して答申をうけないといけない。電波監理審講会への諮問は遅れに遅れ、今回やっと諮問にこぎつけたのである。

 審議期間は一ヵ月程度かかるから答申が出るのは来月末。答申を受けて申請受付を始め、約二力月で締め切る。申請者の中から二社に絞り、決まるのは約半年後。来年夏には予備免許が交付され、さらに一年後には本放送が始まる段取りだ。したがって新テレビが楽しめるのは二年後の再来年(平成七年)になりそうだ。

■キー局問題

 新テレビ局の開設に意欲満々なのはテレビ朝日と日本テレビである。この両社は東京に本社を置くキー局でそれぞれ各地のテレビ局を系列局にして全国ネットを組んでいる。現在のキー局は沖縄テレビがフジテレビ、琉球放送がTBSと組んでいる。テレビ朝日と日本テレビは沖縄に系列テレビ局を持つことで全国ネットを完成し、ひいてはスポンサーへの影響力を大きくすることができる。是が非でも沖縄に進出したいというのが本音だ。

 その受け皿として地元にテレビ局設置の動きが出ていた。ところが日本テレビが沖縄進出を凍結する方針を打ち出したことから俄然雲行きが怪しくなった。日本テレビでは不況で大型投質をする環境にない、さらに衛星放送に多額の資金が必要であり、沖縄には進出する余裕はないとして進出凍結を決定したと伝えられている。

経済界が独立局を設立

■地元の対応

 この日本テレビの方針変更に衝撃を受けたのは地元の経済界てある。実は地元の経済界は十三年前に有力企業百社が連名で沖縄への電波割り当ての早期実現の要請書を郵政省に提出していた。さらに四年前には南西放送という会社をつくって実現に乗りだしていた。

 この段階でキー局を日本テレビに的を絞っていたのである。キー局になるのは資本の出資など経済的に相当の負担をする。そのキー局が沖縄進出凍結。驚いたのは地元の経済界である。南西放送は金秀グループ、白石グループのほか銀行も加わり、一大勢力を築いていた。日本テレビともキー局の交渉を進めていた。そのほかにも金城キクグループ、さらに琉球新報も新局開設へ意欲を見せ、西銘前県知事もからんで動きは複雑化していた。

 一方ライバル局のテレビ朝日は朝日新聞、沖縄タイムスが共同で戦線を組み、開局へ着々と布石を打っていった。新局が開局すると既存局が打撃を受けるのは目に見えている。そこで既存局は新局の阻止―開局遅延の運動を展開することになる。テレビ界では視聴率トップになるのが至上命令だ。四局が入り乱れて視聴率競争をすれば競争に負けた局は存亡にかかわる。既存局が開局阻止に動くのも当然である。だが時代の流れは阻止できない。もはや沖縄だけが二局という現状維持ではやっていけない時代になった。既存局は方向を転換してテレビ新時代に対応することになった。

キー局なしで運営

■新局の経営

 日本テレビが沖縄進出凍結方針を打ち出したことで地元はどうするのか。関心はこの一点に集まった。新局断念か、あくまで実現か。トップが会合を童ねて協議した結果、既定方針通り新局開設でまとまった。実はテレビ局の収入(電波料)は地元二に対し、中央の電波料が八という割合になっている。この八のうち三が全国ネットで残りの五はスポット広告である。たれ流しではないのである。

 進出を凍結した日本テレビは番組は供給(売る)するという。例えばキー局が番組をつくり沖縄を含めた全国ネットで流すことをスポンサーがOKすれば新局も電波料はもらえる。それ以外は新局が自社の営業努力で番粗にスポット広告をつけて収入とする。

 この仕組みをそのまま生かして新局を運営する。幸い日本テレビは番組提供はするというから問題はない。ナショナルスポンサー(例えは松下電器とかトヨタ自動車、花王など全国展開の大手企業)は沖縄でも宣伝が必要だから、全国ネットで放送するだろう。だから、あとの分はスポットをとる。現に既存局も東京や大阪に支社をおき営業しているから、必ずしもキー局に頼らなくてもできると計算したのである。さらに新局は機器が新鋭のため人員は少くてすむ。既存局が二百人前後の社員を抱えているのに対し、新局は三分の一の人件費で済むだろうとされている。さらに社屋の建設費用などを節約すれば経営は十分採算がとれるとみたのだ。

 そこで地元の各グループはばらばらになっては経営が難しい、ここは大同団結して一社に絞り込もうということになった。こうして日本テレビの凍結は地元を一致させることになった。

実質的な一局二波 報道地図塗り替えか

■地元が弱いテレビ朝日

 一方のテレビ朝日は既定方針通り開局へ準備をすすめ社名も琉球朝日放送としている。だが弱点もある。それは地元の沖縄タイムスと朝日新聞だけが株主で地元の有力経済界はほとんど顔を出していないことだ。この点は郵政省も懸念を隠さない。さらに面白いのは有力経済界のかわりに琉球放送が一枚かんでいることだ。

 琉球放送としては新局ができると影響が大きい。阻止できなければ次の手として新局へなだれ込もうという作戦だ。テレビ新時代に対応するため、社員を新局へ引き取ってもらい、スリムになって戦おうという作戦だ。なんのことはない。実質的に「一局二波態勢」を実現して生き残りをかけ、あわよくば沖縄を制覇しようという構想だ。

■申請は五、六十社か

 さて地元の態勢は最終的に二社にしぼられそうだが、実際はどうなるのか。まず申請は他県の例をみると二、三百社にのぼりこのなかから、県知事や商工会議所の会頭など有力者が調整にあたり、最終的に絞り込む。全国どこからでも申請できるから申請が殺到するわけだが、沖縄ではせいぜい五六十社にとどまるのではないかと見られる。

 調整作業は出資金や役員、会社との取引関係などさまざまな条件を提示して了解を得ていく。スムースに行けばいいが、中には最後までOKしないところが出てくる。難航して三、四年もかかっ た例もある。だが沖縄では土地柄からスムースに行くだろうと見られる。

■映像と活宇媒体

 新局ができるといままで以上の競争激化が予想される。その一番の理由は地元の二大新聞がテレビに本格進出するからだ。もともと沖縄タイムスは琉球放送と密接な関係を保っていたが、琉球放送が力をつけてくるとタイムスの言うことをハイ、ハイと聞かなくなった。テレビの援護射撃で新聞を売りまくろうというタイムスにとっては琉球放送は扱いの難しい存在になった。ぎくしゃくした関係もあってタイムスは新局へと走ったと言われる。

 一方の琉球新報は沖縄テレビとは友好関係はあるがタイムス=琉球放送ほどの堅い関係はない。例えばNAHAマラソンの時などタイムスが主催すると琉球放送はテレビは中継放送する。ところが琉球新報の場合は沖縄マラソンを主催しても沖縄テレビは中継放送しない。これではテレビ時代には新報も弱い。かくて新報にとっては自由になるテレビがノドから手の出るほどほしいのである。タイムス、新報とも新テレビ局に期待をかける姿がほのみえてくる。新局ができた場合はテレビ画面からは新報ニュース、タイムスニュースがじゃんじゃん流れるだろう。そうなるといままでの状況は一変する可能性がある。新報、タイムス両社は映像、活字の二つの媒体で家庭に流れ込む。

 逆に活字媒体を持たない沖縄テレビ、琉球放送は影響力が弱くなる。これを突破して既存テレビ局はどんな手を打っていくのか。

■衛星放送との競合はない?

 衛星放送時代がくるといわれているが、関係者はそれでも地上局はなくならないと指摘する。衛星はたしかに番組が宇宙から地上に降り注いでくるが、番組は全国ニュースに限られローカルニュースは放送されない。これが弱点だ。例えばマラソンなどがいい例だろう。NAHAマラソンを衛星で放送することはないだろう。これに反して地上局はローカルニュースも自由に放送できる。地上局がなくならない理由だ。

 二、三年後、沖縄のマスコミ界に大変革が訪れそうだ。


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