第461号(1995年7月1日号)


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宿泊業界、危機に直面

 沖縄県ホテル旅館環境衛生同業組合が調べた那覇市内の中小ホテル月別売上げ表がある。一月〜三月は那覇市内の ホテルの一番の繁忙期である。

 それによると一九九〇年の一〜三月は合計六千四百三万円、前年比一二三・六%だった。

 九一年も好調で七千九三七万円、前年比一〇〇・三%。九二年八千八百五十万円、前年比一一一・五%だった。

 九二年を境に売上げは坂道を転げ落ちるように減少する。

 九三年八千六十五万円、前年比九一・一%、九四年七千三百八十四万円、前年比九一・六%。九五年は五千七百三十八万円、七七・七%。

 九五年度の売上げは前年比二二・三%も減少して過去十三年間で最低に落ち込んだ。

最も痛いのは宿泊料金の値下げ競争である。料金が下がったために、稼働率をあげる事、すなわち薄利多売を意味す る。しかし、大量といっても入り込みが頭打ちしている現状では売りたくても売れない状態が続く。

 県ホテル組合では今後、借入金が返済出来ないホテルが出て来る可能性が大きいとして開発金融公庫に対し「借入 金の借り替えに制度の新設」を要請することにしている。

 これによって返済金額を低くし、返済がスムーズにいく事を狙っている。

 海洋博直後の危機の時には借入金の条件変更で借入期間の延長は四十六名が実現し、平均七・九一年が一二・三三 年に延長出来た。元金の据置は二七名が実現し、平均一・三五年の据置が認めれた。借入金の利息の変更は十三名が 実現し、平均一〇・二五%を九・五七に変更された。また、転業したいが九七名、しないが一〇八名となっている。(以 上いずれも県ホテル組合アンケート調査より)

 当時は海洋博後の事で沖縄観光の将来に明るい希望を持っていたが今回は先行きが全く読めず、深刻だ。 ホテル 組合では各市町村に対し固定資産税の軽減に関する要請もしているが、沖縄市をはじめ浦添市、平良市、具志川市、与 那城村、各市議会とも不採択となっている。

 沖縄観光の危機を深刻化させている一つに、海外観光地との競合問題がある。特にハワイに比べると沖縄観光の構 造的危機が指摘される。ハワイは二度三度と行けば行くほどさらに行きたくなる構造を持っている。ハワイの魅力は @開放感がある。訪れる人はだれでも短パンにアロハ、ゴム草履といったラフなスタイルで楽しむ事が出来る。これ に対して沖縄はネクタイ、ワイシャツ、背広といった服装である。ハワイなみのラフなスタイルの観光客はかつて県 民からひんしゅくを買った。以来、観光客も沖縄では開放感にひたれないA物価が安い。ほとんどが日本の半値とい う物価の安さで観光客はショッピングを楽しんでいる。土産品店よりも地元のスーパーが安く、観光客はスーパーに 殺到している。

 このような観光地の構造は沖縄では望めない。

 あるアンケート調査では観光客は沖縄に対して「沖縄本島はミニ東京で全く魅力はない。離島はまだ沖縄らしさが あるが」答えている。

海外旅行は今後ますます増えて逆に沖縄離れが進んで行きそうだ。各旅行社は沖縄を重点販売地域にしているが肝心 の沖縄の受け入れが構造的に海外に劣るような体質を持っている以上、観光客の飛躍的な増加は望み薄すだ。沖縄観 光の苦難は今後も続きそうだ。


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4万人増を狙う まつり王国で初の数値目標

 大琉球まつり王国が十月一日から十五日まで開催されるが、沖縄県やOVB、業界が 中心になって六月十四日、実行委員会と幹事会が開催され、実施計画を承認した。この 中で「十月の入域観光客数を対前年比四万人上乗せする」と事務当局が明示した。イベ ントに対前年比で数値目標が設定されたのはこれが初めて。

 まつり王国は@観光客が落込む秋口の対策として、新規誘客イベントを実施するもの で、Aそれによる増加目標数を四万人とするB戦略的には「青い海・空」に加えて新し い魅力ある商品を開発する、ことなどを確認。イベントの骨子は十月一日から十五日ま で、那覇まつりをはさんで@オープニング(一万人のエイサーパレード)A首里城、パ レット久茂地、国際通り、那覇市民会館、県立郷土劇場で民俗芸能、伝統芸能、舞踊、演 劇などを実施。県内トップクラスのバンドによるコンサート、フィナーレ(一万人のカ チャーシーパレード)を行うもの。

 まつりの骨子は東京で開催されている沖縄デスティネーション開発協議会(運輸省、沖 縄県、旅行各社、航空各社で構成)でほぼ固まり、東京サイドですでにパンフレットを 制作、販売体制を整えている。

 実行委員会は沖縄県知事を会長にOVB、県市長会、県町村会、顧問に総合事務局長 ら十三団体を置き、委員に県内外の企業が名を連ねている。

 事業予算は一億三千万円で県が八千万円を負担、協賛金で四千五百万円、入場料収入 七百五十万円など。メディアミックス事業の三千万円もイベントのPRに活用し、実際 には一億六千万円規模の事業となっている。



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近づく開局琉球朝日放送

 朝日放送はUHFアンテナを取り付けないと受信出来ない。UHFアンテナは工事費込みで一万五千円から二万円。

 沖縄郵政管理事務所の調べでは県内の受信所帯は三十三万五千四百所帯(沖縄県の調べでは全所帯数は三十六万二千九百九十八所帯)で九割の三十一万所帯が新たにアンテ ナをつけないといけないだろうという(すでに今帰仁、名護七千八百所帯、国頭一万七千所帯はUHFアンテナを取り付けている)。

 那覇市内のある主婦は「二万円でアンテナを買うのだったら、見ない」という。いままでのテレビで十分というのだ。またある主婦は「放送が始まって番組をみてから良ければ取り付ける」とな かなか慎重だ。  

 いくらいい番組を流しても見る人がいないと、ビジネスとして意味はない。だから朝日放送にとってはアンテナをいくら取り付けてもらうかが成功するかどうかのカギを握る。

 朝日放送ではアンテナ設置キャンペーンを七月はじめからテレビや新聞を使って大々的に展開する。同時にカラー刷りのチラシ十五万枚を作って配付、促進している。

 電化製品店でも販売促進のチャンス。二十五万所帯、一戸二万円とみてざっと五億円のアンテナ特需がある。 シャープはいち早くキャンペーンをはじめており、特約代理店に呼びかけて アンテナ販売を開始、メイクマンでも特別班を編成して販売に力を入れている。面白いのはケーブルテレビである。那覇、浦添地区でケーブルテレビに加入していればアンテナをつけなくても 自動的に朝日放送が見られる。浦添地区の開局で二万所帯弱の加入者がある。これらの所帯はアンテナはいらない。ちなみにケーブルテレビは加入料一万円、標準工事料二万五千円、合計 三万五千円が必要で、そのほかに例えば映画専門の有料チャンネルが二千円から二千五百円などの契約が必要となる。

 那覇市内でも小禄金城町、具志、古島、真嘉比などはケーブルがひけない。

 一方、衛星を利用したテレビ受信システムも登場した。こちらはアンテナ、工事費込みで十九万八千円と高いが十一種類の専門チャンネルが受信出来る。中国、台湾、マンガは無料だが、そ の他の番組は受信契約して受信料を払う。どこでも受信できるのが強みで、高いか安いかはその人の価値判断による。

 朝日放送を受信するためのUHFアンテナを取りつけても番組の内容が面白くなければ何にもならない。朝日放送の番組の目玉はなんといっても夜十時からの「ニュースステーション」だ。キャ スターの久米宏のこの番組は東京では有名。フアンも多い。沖縄でニュースステーションがどのように評価されるか、注目の的だ。つぎに小中学校生に大きな人気を持つ「セーラームーン」だろ う。全国規模でセーラームーンの人気が高いので沖縄でも人気の的になると見られる。そのほかに映画、時代劇などずらっと面白い番組を揃え、朝日放送では内容では負けないと自信をみせ る。

 これまで琉球放送は朝日放送から人気番組を買って放送していたのでRBCの番組がそのまま朝日放送に異動するのもある。

 そのRBCは今度は追いかけられる立場にある。先発のOTVは一九五九年十一月一日の開局。RBCは一九六〇年放送開始。ともに沖縄では三十四年、三十三年の実績を誇る。だがこの世 界は技術革新が早く、経営は番組の内容にも左右される。いわゆる視聴率の競争だ。朝日放送の沖縄進出で最も危機感に襲われたのはRBCだった。OTVはフジテレビという強力なキー局と 提携しており、視聴率もいつも上位にある。危機感はあっても割合、楽観していた節がある。

 ところがRBCはスタッフも高齢化し、朝日放送が最新機材を持って乗り込んで来ると経営が厳しくなる。そこで小禄邦男社長が郵政省と命運をかけた折衝を始める。これまで集中排除の原 則で一局で二波を持つことは禁じられていた。テレビ局は一局で一つの電波しか出せず、他の局と資本関係も持つことは出来なかった。強力な折衝の結果、一局二波が認められ、RBCは琉 球朝日放送と関係することが許された。こうしてRBCから三十五人が朝日放送に出向の形で異動した。 

 小禄社長は「ピンチをチャンス」に変えたのである。困っていた人員整理を血を流すことなく実現した。経済界では小禄社長の手腕を高く評価する声がある。

だが、それだけで安泰という訳には行かない。いうまでもなく広告収入である。供給が増えれば価格競争が激しくなるのは経済原則だ。 朝日放送は六月末に県内のスポンサーを招いて料 金の説明会を開いた。料金はこれまでの先発二社(OTV、RBC)とほぼ変わらない。ある県内の大手スポンサーは「新しいテレビ局といっても予算は組んであるし、増やす訳にはいかない。これ までの予算内でやりくりするしかない」という。二社に出していたのを三社に分けるという意味だ。 

 当然、先発組も収入が減る。あるテレビ局の営業担当者は「料金は基準が有ってなきが如しです。実勢料金はケースバイケースです」という。いくらでも叩けるというわけだ。これがテレビ局の 経営に影響を及ぼさないはずはない。

 RBCは朝日放送のために局社とテレビ塔を新設した。朝日放送はRBCから賃貸する仕掛である。一説ではこの資金は五十億円にものぼっているという。この返済も大変だ。RBCと朝日放送 はどちらかが経営に苦しくなっても大変。運命共同体の関係にある。

 OTVもスポンサーとの関係では渦に巻き込まれて経営が苦しくなるのは当然だ。

 NHKも視聴料の徴収では苦しくなる。民放三社を見るのでNHKはいらないという口実の視聴者が増えそうだ。

今すぐではないが、第四局の動きも不気味だ。沖縄郵政管理事務所の話では第四局はすでに開設申請を終えているという。認可が遅れているのはキー局の日本テレビがゴーサインを出さ ないからでスタンバイの状態でいるという。資本金も準備できて株主もそろった。あとはいつ郵政省がOKを出すかだけだという。

 関連して注目されているのはラジオ沖縄の動向だ。関係者によると今期の決算でラジオ沖縄が黒字に転じたのでラジオ沖縄を中心に第四局を運営してはどうかという案が浮上している。

 ラジオ沖縄を使うと局舎も新築せずに済むし、スタッフもいる、というわけだ。だがいまラジオ沖縄は電波塔の問題が難航している。豊見城村の漫湖付近が最適として豊見城村に建設を申し 込んだが景観を理由に断られた。どうするか、頭を痛めている。

 第四局のテレビ塔は民放四局の共同使用になる可能性が高い。現在新築中のRBC、朝日放送のテレビ塔だが、ライバル同士がどのように共同使用するのか、波瀾含みだ。

 さらに大きな問題は「マルチメデイア」との関係だ。NTTは二〇一〇年までには全国の各家庭に光ファイバーを布設してマルチメデイアを実用化すると意気込んでいる。光ファイバーの物す ごい所は一本の光ファイバーで家庭用コンピューターを動かしテレビ、ファックス、電話、銀行取引、買い物、乗車券の予約発券、などなどあらゆるものが一度に利用できることだ。

 テレビ一つとっても劇映画、ニュース、スポーツ、音楽、アニメ、ハウツウものと広範囲にわたって使える。アメリカではCATVに一〇〇チャンネルというのが出現している。こうなると民放もNH Kもそのあり方が変わってくる。新聞もキー一つで印刷されて出てくるだろう。使用料金も電話をはじめあらゆるものを使いっぱなしで月に五千円(NHKの聴取料も含む)といったシステムにな るかも知れない。

 二〇一〇年と言えばあと二〇年弱。いまの小学生が社会人になったころだ。この年代の子供たちはゲーム機械を自由に扱いコンピューター感覚をしっかり身につけている。マルチメデイア 時代にはこの子たちが自由自在にメデイアを操り、便利な生活が繰り広げられるだろう。朝日放送の開局は実はマルチメデイア時代の小さな一歩かもしれない。

 琉球朝日放送株式会社は資本金七億円、キー局は全国朝日放送(テレビ朝日)本社は那覇市久茂地二の三の一。コールサインJORY―TV。周波数はUHF二八チャンネル。

▼代表取締役社長・比嘉敬▼代表取締役副社長・久野三郎▼専務取締役・平田嗣弘▼東京支社長・亀川恵哲▼取締役・新川明、島田雄一、川戸弘次、当山堅次、戸倉康充▼常勤監査役・ 城間秀夫▼監査役・坂本誠、森田恒勝▼特別顧問・桑田弘一郎▼相談役・小禄邦男


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