第508号(1997年8月15日号)


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台湾国営企業グループ アクアポリスに4000万ドル投資

 アクアポリスを台湾、香港、沖縄の企業グループが合弁会社をつくってリニューアルし、運営も行うことが固まった。台湾国営企業グループと香港グループが國場組を中核とする沖縄の企業グループと組んで四千万ドル(四十六億円)までの投資を確約し、事業内容についても具体的な計画が提出された。@アッパーデッキに席数二千のメガレストランを設け、中国雑技団のショーなど本格エンターテイメントを提供するほかAメインデッキにハードロックカフェ、ワンポイントピアーなど国際的なチェーンを導入するBロワーハルを増床し各種マリン事業を展開することなどが計画の骨子となっている。(本紙・渡久地明)

■メガレストランに中国雑技団 本格エンターテイメント提供

 合弁会社の基本コンセプトは世界最先端の技術を集約させたエンターテイメントコンプレックスの創出で、海上型観光テーマパークとして開発するというもの。合弁会社は今年九月末を目途に設立し、事業開始時期は来年七月を予定している。新会社はアクアポリスの全館を借り切る。事業による県内直接雇用は少なくとも四百六十人と試算されている。

 計画ではアクアポリスの構造に合わせてアッパーデッキ、ミドルデッキ、メインデッキ、ロワーハルのそれぞれに多彩な内容を展開。

 最上階のアッパーデッキは食と歌と踊りの場として席数二千以上のアジアンメガレストランを新設する。エンターテイメントには中国雑技団をはじめアジア各地の民族舞踊・芸能を集めて国際的なショーを見せる。

 ミドルデッキはアッパーデッキとメインデッキの中二階的なスペースだが、カフェバーやパーティールームとし、都市型・ナイトライフ型のハイレジャーを提供する。

 メインデッキはアメリカの有力チェーンであるハードロックカフェと提携して飲食事業、アメリカの輸入物販大手のワンポイントピアと提携して物販事業を行う。

 さらに大型ライブの公演ができるイベントステージの新設、リゾート感覚に満ちた飲食部門を設ける。

 ロワーハルはアクアポリスを支える海中・海面部分でこれまで使われたことがなかったが、増床してオープンデッキ、遊覧船デッキスペースを新設。クルージング、フィッシング、ダイビングなどのマリン事業を展開する。同時に海中展望室を新設して海底のサンゴや熱帯魚の様子を見ることができるようにする。

 陸上部門は乗用車五百五十台、大型バス五十台の駐車場運営が中心になる。

■台湾、香港、沖縄で合弁会社設立

 アクアポリスのリニューアルを台湾の国営企業グループが展開することになったのは國場組の国場幸一専務らの強力な人脈と手腕、アクアパークの安慶名一郎社長や県当局など株主の決断があった。

 台湾の国民党は投資先を分散する方針を定め、李登輝総統は沖縄は有力な投資先であると名指ししていた。すでに国民党はひめゆりパークを買収しているが、アクアポリスへの投資は投資分散政策、沖縄振興策(全域フリーゾーン化)を受けての本格的な大型投資となる。

 合弁会社の設立メンバーは台湾国営企業グループの中央投資服伶有限公司、香港のKDG、沖縄は國場組を中核とする企業グループ。台湾、香港のメンバーは國場組が中心になってオープンしたブセナテラスの開業レセプションなど折りにふれて来沖、計画を進めてきた。

 現在のアクアパーク株式会社は昨年暮れに沖縄県が主導権をとって第三セクターとして発足した。この間、さまざまな事業を検討していたが、今年二月、台湾グループが最もユニークな事業を提案し、資金も用意することで話は急速に具体化した。

 アクアパーク側は台湾、香港の責任者を訪問し、投資と事業展開の意思を再三確認してきた。この間、アクアパークの株主も投資の受入を承認。計画は実現に向けて動き出した。

 新たな合弁企業グループは投資および事業運営を行い、既存のアクアパークは施設の所有者として家賃を得るという関係になる。事業開始後五年で黒字転換を見込んでいる。現在、アクアパークとの間で賃貸料など細かい詰めの交渉が行われている。

 アクアポリスそのものは表面の錆が目立つが、単に目立っているだけで海中に沈んでいる基礎部分は建造当時とほとんど変わらず十分な強度を維持している。海上に露出している部分の錆は全面的に作り直して回復できる。内部はロワーハルの内側まで点検しても不具合はなく、内装を一新するだけで十分に魅力的な施設に生まれ変わる可能性を秘めている。

 香港グループは地元香港はもちろんハリウッドなど世界中でエンターテイメント事業を手がている実績があり、これまで国内のどの企画会社も思いつかなかったユニークな事業をアクアポリスに提供することになった。

 これによって懸案となっていたアクアポリスの再生と同時に台湾国民党の沖縄への本格投資も実現。国民党に続き台湾の一般企業の沖縄投資の引き金となるであろう歴史的な第一歩となる。県の進める国際都市形成構想の最初の具体的な成果としても注目される。


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生ゴミ処理施設建設へ

 家庭やホテル、学校給食、スーパーなどから出る大量の「生ゴミ」処理が大問題となっているが、糸満市はこの生ゴミを処理する「堆肥センター」(仮称)を設置する計画を進めている。糸満市だけでなく、那覇市も巻き込み十年度から着手する方針。

 糸満市、農協を中心に調査をすすめ、このほど報告書が出来上がった。

 報告書によると、生ゴミは畜産農家の排出分を含めて糸満市で一日約七トン、那覇市では一日百十三トンに上る。

 堆肥センターは一日約五十トンを処理できる規模で建設費は約九億円となる。

 生ゴミは各家庭のほか、ホテル、学校給食、スーパーなどで大量に出る。特にホテルでは処理に困り、何とか、まとめて処理できないかと研究を進めている。

 また、学校給食も食べ残しなど大量に出るため、各学校では始末にこまり、さらにスーパーでは売れ残りの食品など生ゴミとして処理するのに頭を痛めている。

 糸満市では畜産農家の排出物などを含めて、各家庭からでる生ゴミも処理計画を進めていた。

 市役所、農協を中心に検討をすすめ、このほど報告書ができた。

 ただ、糸満市だけでは排出量が少ないため、那覇市を含めて処理する方法を検討している。

 さらに南部広域事務処理組合でも南部一円を処理したらどうかとの声もでたため、八月一日から研究会を発足させ、具体化を研究し始めた。

 処理した生ゴミは堆肥として使えるため、沖縄の農家にも還元できる。本土から肥料や堆肥、土などを移入しているため、堆肥も県産を使うようにしようという狙いもある。

 今後は場所の選定、規模、収集の方法、経費、糸満市と南部組合で共同でやるのか、国、県からの補助はあるのかなど、詳しい検討を進める。

 ただ、欧米では生ゴミはディスポーザーを各家庭に設置し、下水道に流す方法を採っており、リサイクルを考えた今回の生ゴミ処理とどちらの方法がいいのかを含めて具体的な論議も必要。日本ではディスポーザーは下水処理場を詰まらせるため、使用禁止となっている。

 このほか、各家庭に生ゴミ処理機を設置する際、自治体が購入補助金を出す方式をとっているところもあり、生ゴミの最終処理を巡って問題になることは必至の情勢であり、糸満市の計画もこの一環として注目されている。

 那覇市のゴミ処理は那覇市首里にある那覇市保健衛生部環境センターで行っている。那覇市内の家庭や事業所から出るゴミ(資源ゴミ、燃えるゴミ、燃えないゴミ)を処理している。処理能力一日三百トンの焼却炉を持ち、ほかに埋め立て処理もしている。

 生ゴミについては業者に委託して事業所から出る生ゴミを収集させている。

 平成八年一年間に那覇市環境センターでゴミ処理したのは約十三万トンである。

 このうち生ゴミは約三分の一と見られる。正確な生ゴミの量は分かっていない。これは家庭ゴミのなかに燃えるゴミと燃えないのが混在しており、正確に区分け出来ないためである。

 しかし、生ゴミ処理センターが糸満市に出来ることは那覇市としても歓迎の姿勢である。那覇市保健衛生部環境センターの所長山田久雄氏は「いまのところ糸満市が立地に適していると思う。もし実現すれば、各家庭での分別の方法、搬送の方法など研究しなければならないことが沢山ある」と話している。

■ディスポーザー

 アメリカではディスポーザーをつけるのは常識である。沖縄でも販売業者がいて販売を始めている。家庭の流しの下につけ、野菜屑、ニワトリ、豚肉の骨など金属片以外は何でも切り刻んで水で流す。生ゴミが発する悪臭や汚水などは全然ない。取り付けた人に使用後の感想を聞くと「清潔そのもの。なぜこれまでつけなかったのか残念。もちろん外に出す手間もいらないし、犬や猫が荒らすという心配もない。衛生的です」とべたほめである。

 ところが那覇市ではこのディスポーザーの使用に「待った」をかけている。那覇市土木部下水道業務課の話しによると那覇市の下水道条例、第十三条に「障害を及ぼす恐れのあるものは使用を禁ずる」旨の規定があり、ディスポーザーは障害を及ぼす恐れがある、という。障害とは下水管を詰まらせることである。

 ディスポーザーを使うと罰則はないが、使用は控えて下さいという。アメリカでは下水管の大きさ、水量の多さなど日本とは条件が違うので下水管が詰まる心配はないという。

■家庭用生ゴミ処理機

 家庭用生ゴミ処理機の研究開発、販売も盛んである。各家電メーカーが新製品の開発にしのぎを削っているが決定的なものはない。那覇市でも昨年度は購入家庭に補助金を出して普及に乗り出したが、うまく行かず今年度から補助を中止した。

 この処理機は電機洗濯機ほどの大きさの槽に家庭から出る生ゴミを入れ、最近注目のEM菌などを混入して堆肥にする仕組み。最近では電気で温めて細菌の繁殖を増やすなど工夫を重ねているが、アパートのベランダでは狭い。出来た堆肥を処理出来ない。まだ性能に難点があるなどで普及も難しいという。生ゴミこそ「最後のリサイクル市場」という声があるが、決め手に欠けているといるのが現実だ。


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連載コラム《視点》不透明なシミュレーション

 県は全域フリーゾーンの経済効果を「外部の研究機関」に委託してシミュレーションし、その結果、県民の嗜好が安い外国商品にシフトしたら所得となる付加価値は全部で八十億円となる、と地元の日刊紙沖縄タイムスが報じている。八十億円増えるが、同時に第一次産業は二百五十億円のマイナスという。

 この記事は、シミュレーションの結果を伝えるだけの第一報であるから不備は致し方ないが、それにしてもお粗末すぎる。

 第一にシミュレーションを勉強したことがある人なら誰でも分かるが、適切なシミュレーションモデルが構築できたのだろうかという大きな疑問がある。もし、そのようなモデルができたのだとすれば、それそのものが大きなニュースであり、世界中から反響があるだろう。

 常識としてシミュレーションを行った場合、最も重要なのはシミュレーションモデルの妥当性であり、学会発表などの場合、その部分に質疑が殺到する。その部分を抜きにして結果だけを天下りで読者に押しつけるのはおかしい。

 第二に、もしシミュレーションモデルが妥当なら、既存の現象をそのモデルで説明できなければならない。つまり、通常は新しいシミュレーションモデルを提案したら、これを使うと例えば過去に円高が及ぼした県内貿易取り引きの変動をかなりの精度で説明できる。あるいは、全域フリーゾーンをすでにやっているグァムの経済成長の様子が完璧に説明できる。よって、全県フリーゾーンもこのモデルを適用して差し支えない、というやり方をする。記事にはその説明がない。おそらくもとの論文にもそ れがないのかもしれない。

 第三に、モデルをつくったらさまざまな初期条件をモデルに投入しなければならないが、どのような初期条件が採用されたのか分からない。ここまで来るともはや専門家の領域で日刊紙の記事でいちいち取り上げる必要はないかもしれないが、実はシミュレーションの結果はこれのさじ加減でどうにでもなるのだ。

 地元日刊紙の記事を読むと直感的にこれくらいの疑問点が湧くのだが、以下は、記事を書いた方に関する疑問である。

 当然のことながらシミュレーションを行った研究機関のこれまでの成果も問われる。

 ところが、この記事はシミュレーションを実施した主体が単に「外部研究機関」となっており、誰がやったのか分からない。もちろんどの研究機関であろうと、モデルが数学的・現実的に問題ないと判断されれば誰がやってもかまわないが、モデルが示されない段階では少なくとも研究機関の名称は公開すべきである。つまり、このような記事の場合、取材する側もそれなりの専門的な知識と直観が必要であって、単にペーパーの内容を垂れ流すだけではダメなのだ。

 この件に限らず、特にフリーゾーンに関する記事には誰かがいったことを記者が未消化のまま垂れ流すという傾向が非常に強い。もちろん現実には記者の仕事のほとんどがネタを右から左に流すだけというものが増えている。専門の記者もいないのが現実だ。であるならば、ジャーナリストの原点にかえって「誰が」「どこで」「どんなことをいっているのか」くらいは明確にすべきである。あるいは記事の元になったペーパーを大量にコピーしておいて、読者の資料請求に応じればよい。記者が判断できな ければ、読者がその情報に基づいて、独自に判断したり、ネタ元に直接確かめることができるようになるからだ。

 もっとも、今回のシミュレーションくらいいくらでも入手方法はあるのだが、記事から判断する限りどうも胡散臭い。元に当たるまでもなさそうだ。(明)


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