第546号(1999年5月合併号)


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サミット沖縄を軸に日米の国益が一致 本紙・渡久地明

 「ベリー・ベリー・グッド・アイデア」。クリントン米大統領は日米首脳会談で小渕恵三首相に沖縄サミット開催ついて、こう歓迎の意向を示した。小渕首相が「沖縄でのサミットをぜひ成功させたい」と伝えたところ、大統領は「沖縄開催はグッド・グッド、ベリー・ベリー・グッド・アイデア」と応じた。さらに大統領は「基地問題も様々な問題を抱えているが、沖縄サミットが成功することを祈りたい」と語った(五月七日、朝日新聞朝刊)。沖縄サミットは四月二十九日、訪米直前に決定した。県内日刊紙は号外を出し、全国紙各紙も翌日の朝刊社説で沖縄サミット決定を高く評価した。沖縄開催にいたるまで国内外でどのような動きがあったのか。サミット開催は果たして日本政府の沖縄への大盤振る舞いだったのか。本紙はそうではなく日米両政府のシナリオ通りの決定だったと見る。

■政治的に当然の帰結

 一九八九年、日本の天皇が崩御、天安門事件、ベルリンの壁が市民の手で取り去られという激動の平成が幕開けした。九一年暮れにソ連が崩壊、沖縄では大田昌秀知事が誕生し、当時の吉元政矩政策調整官らが国際都市形成構想に着手。ソ連の脅威がなくなると日米同盟が不要となり、沖縄の米軍基地がなくなる日が近づくとの読みで壮大な構想が練られた。九三年、日本の政治体制もそれまで続いた五五年体制が崩れ、細川内閣が誕生。世界の政治体制の変革と同時進行的に起こったのが大田知事の誕生であり、その後、この流れは九五年の少女暴行事件での八万人県民集会へと連なる。世界の変化の潮流にタイミングを合わせた社会現象であった。

 吉元氏によると、自民党を倒した細川首相は訪米して、沖縄からの海兵隊の撤退をクリントン大統領に直談判して断られたいきさつがあるという。その後の少女暴行事件がきっかけで沖縄基地問題は日米両政府を揺るがす大きな国際問題へと発展していった。

 一方、アメリカではソ連崩壊後の日米同盟について次のような議論が交わされる。

 ソ連が崩壊して日本に脅威がなくなったが、これを放置すれば日米同盟は弱体化する。日米両政府は軍事費を削減し、日米同盟は消滅に向かう。その場合、沖縄基地問題は東京と沖縄の国内問題となり下がってしまう。

 しかし、弱体化の途中で有事が発生したらどうするか。これがアメリカの問題意識である。アジアは今後も発展を続ける。アメリカはこの地域に今後も影響力を持ち続けなければならない。

 ならば日米同盟の一層の強化が必要であり、日米同盟は「死活的に重要である」ことを日本政府は日本国民に、米政府はアメリカ国民に十分に理解させなくてはならない。この場合、沖縄の基地問題は日本の国内問題ではなく、日米両政府が充分に沖縄県に配慮して国際問題として取り扱わなければならない。

 外交問題評議会はCFRレポート『有事の試練と平時の緊張・日米安全保障同盟への提言』の中で日米同盟の今後を次のように簡潔に要約・結論づけている。やや長いが「提言の骨子」をそのまま引用する。

■日米同盟は死活的に重要

 「日米同盟は、アジアの平和と安定という観点からすれば、衰退の道をたどったり危機によって崩壊するのを放置するには、あまりにも大切でかけがえのない存在である。だが、冷戦時代にうまく機能した形態の同盟関係ではもはや状況に対応できないのも事実である。日米同盟が「有事の試練」と「平時の緊張」に耐え得るようにするには、同盟体制を新しい現実と二十一世紀の安全保障上の課題に対応できるように再編し強化する必要がある。

 一九九七年九月二十三日に新たに発表された「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)は、そのための重要な第一歩だった。だが、新しいガイドラインに盛り込まれた種々の変化を実現するには、日本の国会が一連の関連法案を成立させる必要がある。概略すると、日本政府は以下のことを行わなければならない。

 米国との緊密な安全保障関係が日本の国益にかなうことを、直接的かつ説得力ある 形で国民に説明すること。日本の自衛隊が、さまざまなアジアの地域的緊急事態をめぐって、米国の軍事活動に計画段階から「除外される」のではなく「想定される」のを可能にするような明確な防衛協力関係への関与に同意すること。米政府との間で、長期的な兵器調達計画策定のための真剣な協議を行うこと。これには戦域ミサイル防衛(TMD)システムに対する日本側のある程度のコミットメントが含まれる。

 これに対し、米政府は以下のことを行わなければならない。

 日本との安全保障協力関係が引き続き米国にとって死活的に重要であることを、米国民および連邦議会に納得させること。沖縄に駐留する米軍を含む、アジアへの米兵力の配備に関して国防総省がより柔軟に対応できるようにすること。日本との同盟関係を維持することが、米国のアジアにおける安全保障関係の中核であるという立場を明確に示すこと。

 そして、日米両国には次のことが求められる。

 情報収集、情報共有についてより緊密に協力すること。核拡散問題やテロリズム対策をめぐってより緊密な協調体制を敷くこと。危機に際して、日本が、同盟体制の中でより大きな権限と責任を担えるように、緊密な政治協議を行うこと。

 これらの変革は、東京、ワシントン、そしてアジアの各国政府がおかれている政治 環境に注意しつつ、政治的配慮を持って、着実なペースで実現していかなければならない。

 これらの措置を実行する以外に、日米安全保障関係が将来起こるであろう困難に対応できる道はない」

 提言では本文で安全補償問題はこれまで、日本政府がなるべく国民との間で議論しないよう注意してきたが、これからは市民レベルでのあらゆる議論が必要になってきたと強調している。

 日米同盟の強化によって自衛隊は米軍と行動を共にすることが必要であり、それによって軍事費の削減も可能で日本の米軍基地の整理統合も進む。こうして出てきたのが日米ガイドラインの見直しであった。日米同盟の強化によってこれまでアメリカのアジア戦略から除外されてきた自衛隊を今後は戦略上想定されるものにして行かなければならない。そのためには世論のバックアップがどうしても必要である。

 沖縄に稲嶺恵一知事が誕生するとガイドライン関連法案がトントン拍子に国会を通過したのは周知の通りだ。この際、沖縄の米軍基地がいかに重要であるかを日本国民に徹底するためにもサミットの沖縄開催は絶好のチャンスであることが分かる。

 サミットの沖縄開催を決めて訪米した小渕首相に対して、クリントン大統領は冒頭のように述べて決断を歓迎したが、背景には日米同盟の強化を約束し、それをサミット開催で部分的に裏付けた首相への賛辞も混じり合っている。

■沖縄以外ではメリットがない

 日米同盟の強化の裏付けは実際にはSACO合意事項の現実的な前進が今後求められる。普天間問題の解決であり、日本政府は日米同盟を本気で重視しているということを具体的に示さなければならない。その最も明瞭な方法は財政の出動である。野中広務官房長官が四月の東京都知事選のさなか沖縄を訪れ、那覇空港の平行滑走路をつくると述べたのも、日本政府として沖縄を真剣にもり立てていくという意思表明であったと見なければならない。

 沖縄サミット決定の予兆はいくつかの場面があった。決定時期を何度か延ばし、その間沖縄側の準備手続きが進んだことが挙げられる。

 また、訪米後に決定を先延ばしするとしたのは、米国から沖縄をすすめられたという口実を作るためだったと考えられる。さすがに米国の意向を聞いて沖縄に決めたといわれるのはまずいとの判断から訪米直前に決定時期が戻され、さらに決定当日の四月二十八日にはもう一度決定を翌日の二十九日に延ばした。

 沖縄サミット決定後、県選出のある代議士に「福岡サミットや大阪サミットでは日本政府にとって何のメリットもないということですね」と聞くと「そういうこと。来週の小渕首相の支持率は大きく上昇するよ」との応えで、連休明けの小渕首相の支持率は過去最高を記録した。「小渕首相は最初から最後まで沖縄サミットだった」ともいう。

 日米同盟の強化をアメリカから求められ、本人自身も青春時代の一時期を沖縄で過ごし、強い思い入れのある首相にとって沖縄サミットは最初から腹の中であたためていたアイデアであったろうと想像できる

 早くも小渕首相の総裁続投が確実になったとの報道も見られるようになり、沖縄サミットの効果は早速各方面で現れつつある。

 琉銀、沖銀の株価がストップ高を付け、沖縄電力も大幅に値上がりしているのは公共投資などを通じて沖縄経済が活性化するものという読みがある。決定直後からブセナを中心に予約が入り、すでに名護市内のホテルは報道陣がおさえはじめた。

 嘉手納基地での各国首脳専用機の受け入れが検討されているが、沖縄基地の現状を見せるという意味で活用は当然という結論になろう。だいいち那覇空港には専用機を駐機しておく場所がない。駐機場として嘉手納を使うのは当然だ。それならストレートに嘉手納に入ればよろしい。同時に沖縄がアジアの安定に大きく貢献しているという観点から世界のマスコミの基地取材が歓迎されるであろう。

 全国紙も含めて新聞各社は沖縄の識者に沖縄サミット決定の感想を聞いている。沖縄の経済界、文化人も含めてみんなそろって「ビックリ」しいているのが手に取るように分かる。中には沖縄開催で「福岡県民に恨まれる」という文化人の意見や「大盤振る舞いで気味が悪い」という県庁職員もある。

 しかし、産経新聞(四月三十日)に橋本政権時代の岡本行夫元沖縄問題特別補佐官が「久々に真の政治を見た」と寄稿しているように、実は日米同盟の成り行きを注視していれば、沖縄サミットは当然の政治的帰結である、と読まざるを得なかったのである。

 【参考資料】外交問題評議会研究グループ報告『有事の試練と平時の緊張・日米安全保障同盟への提言』(日本語版、一九九八年六月、フォーリンアフェアーズ・ジャパンホームページ掲載。執筆者・ハロルド=ブラウン〈戦略国際問題研究所顧問、元米国防長官〉、リチャード=アーミテージ〈アーミテージ・アソシエーツ会長、元国際安全保障問題担当国防次官補〉、ジェームス=シン〈外交問題評議会アジア担当〉、ブルース=ストークス〈外交問題評議会上席研究員〉)。同論文はhttp://www.mmjp.or.jp/foreignaffairs/で入手できる。

 外交問題評議会はアメリカのトップ企業幹部が会員となってさまざまな政策を積極的に打ち出している団体で、米政権に強い影響力がある。クリントン大統領も会員の一人。


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2000年の1月1日、空前の入込か

 二〇〇〇年一月一日のコンピュータ誤動作問題と新世紀の新年を外国で迎えようとする旅行客が世界中で急増することから、沖縄も空前の入込となる見通しだ。二〇〇〇年問題では対応が遅れている地域への旅行を控える動きがでると同時にバージンアトランティックなど一部の航空会社が万一に備えて運航を取りやめるところもでてきた。一方、キリスト生誕二千年記念の新年をゆかりのヨーロッパで迎えようと欧州はすでに大混乱が予想され、ローマの客室不足がいまから心配されている。エジプトの客室料金も例年の五倍と急騰。ハワイも強気で、例年、年末年始二十万円台のハワイ六日間が四十万円に跳ね上がるという。このような海外の混乱を嫌って国内が注目される可能性が高く、コンピュータ誤動作問題もない沖縄に空前の旅行客が集中する見込みだ。

■コンピュータ誤動作問題、キリスト生誕で海外は高騰

 二〇〇〇年問題はコンピュータが生まれたての頃、一九××年の下二桁をとって××年だけでプログラムを組んだものがあり、一九〇〇年と二〇〇〇年の区別が付かずに誤動作するおそれがあるというもの。大型コンピュータからパソコンまでこの問題が起こりうる。最近の機種に問題はないと見られるが、一部のプログラムで誤動作が指摘され、各国がプログラムの修正を行ってきた。この問題は先進国首脳会議でも取り上げられるほどで、軍事関連のコンピュータで誤動作が起こると被害は計り知れないものとなる。

 国内の旅行・観光業界では航空機や新幹線などが誤動作を起こすと大変なことになると運輸省を中心に対策が行われ、新幹線などでは試験済み。航空会社も機材はボーイングなどメーカーの指示に従って対応している。予約システムなど自社開発プログラムについては各社とも対策は万全だ。JTAは「機材はボーイングの指示に従って二〇〇〇年問題に対応中。予約システムなどはJALの最新鋭ホストで対応済」としている。

 ところが、アジアに目を転じると、政情不安のインドネシアはロイター調査で「アジアで唯一ガルーダインドネシア航空が二〇〇〇年一月一日に飛行機を飛ばせないおそれがある」と指摘された。ガルーダは猛反発して対策を進めているが、旅行客にとって大きな不安を残すはめになった。中国も航空会社は問題はないと見られるが、一般のコンピュータで対応が間に合わないケースが出そうだ。

 航空機のコンピュータだけでなく、地上の誘導装置など空港設備のコンピュータも同様に誤動作するおそれがある。このためユニークな機内サービスで知られるイギリスのヴァージンアトランティック航空が二〇〇〇年の一月一日の運航を全便取りやめると決定。旅行業界に波紋を広げた。

 一方、二〇〇〇年の一月一日はキリスト生誕二千年の節目の新年でもあり、ローマなどに民族の大移動が起こるほど人気が殺到。すでに客室不足が深刻で、料金もつり上がっている。エジプトのホテルが年末は通常の五倍、欧米も三〜四倍となっている。ハワイも強気で年末年始が六日間で通常二十万円前後の価格設定だったが、要求通りにすると四十万円に跳ね上がる。

 つまり二〇〇〇年の一月一日は「二〇〇〇年の夜明けツアー」で海外旅行需要が急増し、価格は高騰する。と同時にコンピュータの誤動作問題で不安な地域もでてくる。となると、不安が全くない旅行目的地は国内であり、特に沖縄に旅客が集中する可能性が高い。

 実際には各旅行社が主催する二〇〇〇年の夜明けツアーに沖縄を最大限に組み込んでもらう努力と受け入れ側の工夫が求められ、沖縄は二〇〇〇年問題で最も安全な観光地であるというPRを行き届かせる必要がある。これらが成功すれば年末年始の沖縄は離島の隅々を含めて空前の入込を達成することになるだろう。


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軒並み好調だったGW期間中の沖縄線

 航空各社はゴールデンウィーク中(四月二十九日〜五月九日)の輸送実績をまとめたが、各社大幅に昨年実績を更新した。

 日航は国内線の総旅客数が六十四万五千九百四十五人(一一・三%増)、日本発国際線が十七万三千七百九十六人(二〇・七%増)と極めて好調。沖縄線は往復十万五千二百十七人(一二・三%増)と二桁の伸びを見せた。

 全日空は国内線が往復で百二十二万五千八百一人(九・三%増)、日本発国際線が五万千四百二十二人(二二・三%増)と極めて好調。沖縄線は往復で十一万五千九百二十九人(一九・六%増)と大幅に伸びた。

 JAS沖縄線は往復三万四百九十七人(四九・〇%増)と激増。関西線の増便と臨時便の運航で提供席数を二割増やしたため。

 JTAは総旅客数が七万六千九十九人(一七・四%増)と極めて好調。県外線は二万二千五百七十人(一三・四%増)、県内線は五万三千五百二十九人(一九・一%増)となった。

 RACは全線で六千三百七十八人(一一・九%増)となった。

 ANKは国内全線で十九万四千百八十五人(一二・〇%増)、日本発国際線で千二百七十五人(一・八倍)を輸送し好調。沖縄線は名古屋=石垣が千三百三十一人(一七・七%減)、関西=宮古二千六百三十人(二四・二%増)、高松千六百五十六人(一二・九%減)、福岡千四百八十八人(七・五%増)、福岡=石垣千九百八十四人(一九・三%減)、長崎二千七十六人(二〇・六%増)、鹿児島六千七百七人(一・五倍)。県内線は宮古、石垣でそれぞれ二八・六%増、一四・二%増と大幅な伸びとなった。

 JAAは日本発国際線実績が一万五千四百六人(一八・一%増)と好調。沖縄発の旅客数は千百九十五人(三三・二%増)となった。


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