第625号(2002年12月合併号)


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《エコツーリズム国際大会・沖縄》アウト中心の旅行業は片肺飛行 JATA事務局長、法整備にも言及

 「エコツアーは旅行業のセンスの問題であり、教養・マナーだ」\十一月二十八日から十二月一日まで開かれたエコツーリズム国際大会・沖縄のクロージングセッションでJTBの舩山龍二会長が発言、JATAの石山醇事務局長も「アウトバンドをベースに組み立てられている日本の旅行業法の概念、体系を変えないといけない」と踏み込んだ総括を行い、成功裡に閉幕した。(本紙・渡久地明)

■旅行業は地域のパートナーだ 沖縄宣言出し成功裡に閉会

 エコツーリズム国際大会・沖縄(県、OCVB、日本エコツーリズム協会、アジア生産性機構、日本観光協会などで実行委員会を構成)はエコツーリズムによる地域の自立発展と多様性の維持をテーマに四日間の日程で開催された。

 大会は講演、事例報告、シンポジウム、分科会などで構成され、国内、世界二十四カ国から五百六十人が参加した。各国のエコツーリズムの取り組みや問題点も話し合われたが、総括セッションで画期的な方向性が打ち出された。

 総括セッションは舩山氏をコーディネーターに沖縄県観光リゾート局の宜名真盛男局長、アジアンオーバーランド社(マレーシア)のアンソニー・ウォン社長、JATAの石山醇事務局長がパネリストとして登壇。

 宜名真局長は沖縄新法で環境保全型自然体験活動としてエコツーリズムの理念が取り入れられており、これを推進していくと説明。その上で「大会を通じてエコツーリズムが地域振興に役立つことを改めて確認した。エコツーリズムは沖縄観光の救いの神だ」と発言。

 フロアから東良和沖縄ツーリスト副社長が「これからは発地主義の旅行に加え、地域主導型の観光が求められる。地域主導とは地域が作った旅行プログラムに旅行客が参加するというものだ。例えばJTBが受け地センターを沖縄に作り、全国からの問い合わせに応じて発券するというやり方だ。地域の関連事業者を旅行商品造成に、最大限に関わらせて、地域のブランド力を高める必要がある」と提言。

 パネリストの石山氏はこれを受け「旅行会社は自分の都合で商品を作ってはいけない。地域と共に旅行業は進むことが必要だ。JATAとして六つの取り組みを行いたい」と次の方針を出した。

 まず、持続的(サステイナブル)という概念を早く旅行業界のなかに定着させるべきだ。地域の多様性を維持していくこと。そのために法的、権利の主張的にではなく、お客様の理解を得てお客を巻き込んでいくことが必要だ。

 第二にエコツーリズムの概念を持ったサービス体系のプログラムを業界団体としてして整えていきたい。

 第三に旅行業界は旅行業法と共に歩んできたが、業法の本質はアウトバンド発想をベースに組み立てられている。今の日本のツーリズムは片肺飛行ともいえ、東さんの指摘に通じるものがある。販売部門はアウトバンドの予算しか持っておらず、インバンドを含めて旅行の概念、体系を変えなければならない。

 ANTA(全国旅行業協会)が着地型商品の造成に取り組んでいるが、JATAもこれからは積極的に絡ませてもらう。

 第四にマスツーリズムに対してエコツーリズムの概念を活用していく。マスとエコの組み合わせ、サステイナブルという意味を理解してこれに取り組む。

 第五に人材の育成である。もっと幅の広い環境教育をJATA会員はもちろん、文科省にも働きかけていく。

 最後に、地域とのパートナーシップを構築することが必要で、いかに連携していくかを考えていく。そのためにはJATAの機能を地域も活用して欲しい。

 ウォン氏は世界の観光産業が急激にエコツーリズムに向かって変化していることを改めて強調。

 舩山氏は「七月に沖縄で開催されたシンポジウムに参加して述べたが、この十年で成長している観光地は日本では沖縄と北海道しかない。その中で沖縄は素材をさまざまに分析していろんな角度から観光の将来性をきちんと分析、準備している。やはり沖縄はエコツーリズムが将来を切り開くとその時も述べた。今大会を通じエコツーリズムで旅行業の質の転換を図ることが確認できた。

 しかし、これだけやっているのに観光産業の評価が高くない。結論として理想は住む人によし、観光客によしという観光業であるべきだ。エコツーリズムは新しい観光業へのくさびを打ち込むいい機会だと思う。そして、九八年に沖縄で開催した日本エコツーリズム協会設立総会で観光は儲け主義で自然破壊に繋がるのではないかと問題提起され、思い当たるフシもある。

 改めてエコツーリズムとは旅行業者のセンスの問題だ。教養でありマナーだ。単に旅行企画でお客を集めるというのはさもしい。地域も旅行業もかけがえのない観光資源で成り立っている。自然に対する感謝の気持ち。これがエコツーリズムだ」と締めくくった。


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沖縄デジタルアーカイブが不評

■入札後の仕様変更、予算の一律カットなど

 国と県が十五億円を投じて制作中の沖縄デジタルアーカイブの事業の進め方が不評だ。機材など大手企業がごっそり予算を獲得したといわれる一方、主に県内中小コンテンツ企業向けの予算はもともと五億円と全体の三分の一。その範囲で約三十もの番組(コンテンツ)を制作しなければならない。発注側の県情報産業振興課は県内企業の入札選定後、仕様書を変更したり、予算の一律二〇%カットを求めるなど契約前のトラブルが続出。特定業者がレンタルする特殊なビデオカメラの使用を強制するなど目に余る。(本紙・渡久地明)

■契約の過程でトラブル

 これに業を煮やした複数の県内企業が選定後、受注を断り、映像文化制作者の全国組織も沖縄県に質問状を送るなど波紋が県外にも広がっている。地元日刊紙の「沖縄タイムス」も撤退企業が出た旨を報じ(十月十九日付け朝刊)、その後、識者の映像文化論を展開するなど問題提起している。しかし、問題の本質は予算の多くが県外に流れる構造となっていることで、支援対象国であまり役に立たないと批判されるODA(政府開発援助)と同じ問題が横たわっている。政界の表舞台から消えることになった鈴木宗男のように裏で暗躍し、沖縄企業を食い物にしようとした人物もうわさされている。

 デジタルアーカイブとは地域の文化をデジタル化してコンピュータに保存、地域に興味を持つ人に自由に活用してもらおうという仕組み。国際的にもデジタルアーカイブの取り組みは流行しており、国内では石川県などが先進県として知られる。

 沖縄は情報通信に関していち早く国の情報特区などの取り組みがあり、ITブームにも乗って文化や自然景観などのデジタルアーカイブが観光産業にも役立つと構想され、今年の四月に十五億円の予算をつけて事業がスタートした。推進員会を設け、東京大学大学院武邑光裕助教授を座長に総合プロデューサーとして民間から高城剛氏を迎えている。

 十五億円の予算は十億円を沖縄特別調整費から捻出、五億円を県が負担した。そのうち五億円が巨大画面を使った映像コンテンツ、五億円がアーカイブのためのコンピュータそのものやインターフェイス、五億円が歴史、文化、自然など約三十の映像コンテンツに配分されている。

 大型映像の一部やアーカイブのためのデジタル機器そのものを沖縄県内で制作することはかなり困難で、県外映像会社やIT企業を活かすことになっている。

 一方、県内の映像コンテンツを制作できる企業は多数あり、それぞれの得意な分野で各社が応募、入札によって約三十の企業グループ(コンソーシアム)が選定された。

 ところが契約の過程で様々な問題が発生する。複数の関係者によると、次々に常識はずれの内容追加が出てきた反面、予算は増えず、特定のカメラを使用するよう迫られたという。さらに著作権問題も大きい。通常、映像コンテンツなどは作品を納品して完了になるが、作品に使わなかった画像の納品も要求され、それらの著作権もすべて県に帰属するとされたという。これだと制作費の名目で制作会社の命とも言うべき著作権がタダで県に移ることになる。また、撮り貯めておいて、作品に反映されなかった未使用映像を二次利用する道も閉ざされる。これらの仕様変更や使用フォーマットの引き上げ、未使用素材の納入問題などに加え、最後には制作費の一律二割削減が求められたという。

 入札で選定された企業には契約までこぎつける前の七月中旬には撤退するところが複数出てきた。これを見て憂慮した社団法人映像文化製作者連盟(有馬朗人会長、有馬氏は沖縄大学院大学の提唱者)が、著作権や予算の一律カットなどに対して日本の映像文化のために沖縄県に質問状(七月二十四日付)を送付するというところまで来た。

 沖縄県はこれに対して花城順孝商工労働部長名で回答書(八月二十九日付)を送り、次の点を改善したという。@契約書(案)の全面更新A映文連の質問状で問題ありとした、二次利用に関わる条文の全文削除B使用素材の納入、権利譲渡条件の緩和C払い条件の緩和(納入・合格後↓前金払いもあり得る)D制作費「一律二割削減」の撤回E仕様フォーマットの引き上げを一律に強制しないF著作権は「買い取り」で、制作費用に「著作権譲渡料」含めて算定。(制作費と著作権譲渡料を分けた形での制作発注慣行が、未確立なため。)

 同様の回答書は県内企業で組織された沖縄デジタルアーカイブ推進協議会にも送付された。この後、本紙取材に対し県(県情報産業振興課)は撤退企業を除いて全企業と契約したという。

 しかしながら、七月の契約予定が九月以降にずれたことから一部年間を通じての撮影、特に夏場の映像が必要なコンテンツについて、間に合わないものが出ている可能性があり、問題は尾を引いている。

 沖縄デジタルアーカイブは当初のごたごたの原因を正視しなければ、今後、他の仕事でもデジタルアーカイブの前例に倣ったというケースが十分予想されるのである。それよりも創ったコンテンツが何の役にも立たないという、開発途上国で問題になる日本のODA(政府開発援助)のようなことが起こってくる可能性さえある。次号以下この問題に踏み込む。


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10月の観光客3割増で過去最高

■11月の航空実績は4割増

 県観光リゾート局は十月の入域観光客統計をまとめたが、観光客数は三十九万八千九百人(三一・五%増)と過去最高を記録した。前年のテロの反動増によるもの。このうち外国人客は一万七千三百人(四・四%減)となった。

 国内航路別には東京が十八万三千六百人(三七・一%増)、阪神が六万三千二百人(三五・三%増)、福岡は四万九千八百人(一七・七%増)と軒並み増加。

 その他の航路は名古屋三万千三百人(五四・二%増)、鹿児島一万千三百人(一一・九%増)、札幌五千九百人(三四・一%増)、広島四千二百人(一〇・五%増)、仙台四千二百人(二・三%増)、小松三千九百人(七七・三%増)、熊本三千四百人(四一・七%増)、新潟三千三百人(一三・八%増)、岡山三千人(四二・九%増)、福島二千八百人(六四・七%増)、宮崎二千四百人(二〇・〇%増)、松山二千二百人(二九・四%増)、高松二千百人(六一・五%増)、長崎二千百人(四〇・〇%増)、大分千七百人(四一・七%増)、高知九百人(八〇・〇%増)、庄内二百人(全増)、佐賀百人(全増)の順。

 累計では四百二万七千四百人(四・九%増)と前年を十九万人上回っている。

 また、十一月の航空実績は県外線到着ベースで四〇・七%増となっている。〇一年一月から〇二年十一月までの十日ごとの到着客数をグラフに示した。

 前半の網掛け部分がテロ前、スミで塗りつぶした部分が九月十一日以降、今年九月十日まで、白い棒が今年九月十一日以降十一月三十日までの十日ごとの実績(前年同期比)である。今年九月十一〜二十日までの伸びが大きいことから、テロ発生時の昨年九月は影響がなかったとする分析が一部にあったが、これは間違い。十、十一月と昨年のマイナスを埋め合わせ、さらにやや伸びている様子が分かる。

 宜名真盛男県観光リゾート局長は「年間四百八十万人達成が近づいた」とコメントしている。


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