第683号(05年8月1日)


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那覇空港ビル観光客好調で増築へ

■国内、国際、貨物、駐機場など幅広く

 「那覇空港ビルの容量が今年中に需要予測を上回り、増築を検討することになる」。那覇空港ビルディング株式会社の比嘉茂政社長(写真)は本紙のインタビュー対し、国内線、国際線、貨物ビルまでの広範囲にわたって増築が必要という考えを明らかにした。国際線ビルは快適性・利便性改善のため、需要予測とは無関係にリニューアルすることになると述べた。(本紙・渡久地明)

■乗降客1300万人 需要予測やや上回って推移

 比嘉社長は「那覇空港ビルは建設当初、〇五年の航空需要予測を年間乗降客千三百万人と想定して建設されたが、すでに〇四年に千二百五十万人に達し、今年は需要予測を上回る」とした上で「窮屈を我慢すれば千三百万人以上を受け入れることは可能だ。しかし、サービス水準を落とすわけには行かない。増築が必要なら着手しなければならない」と述べた。

 具体的には手荷物検査場は現状でもかなり手狭となっている。さらに出発口、到着口も手狭になりつつあるとした上、ボーディングブリッジが不足しており、エプロン、駐機場などの不足にも言及、「わが社の責任で計画、投資も行う」とした。すでにDFS進出に伴なう第一次拡張工事が実施されているが、これほど大がかりな拡張に言及したのは初めて。

 また、国際線ビルについては需要予測が年間七十万人で、昨年実績は二十七万人と少ないが「利用者の利便を考えると、現状より広くし、快適なものにすべき。入官や税関など政府機関とも相談するが、手狭であることは事実。IDB開催で手直しした部分はあるが、沖縄らしい国際線の玄関としてのリニューアルが必要」と述べた。

 さらに、「貨物ビルも狭い。極めて不便になっており、改善が必要」との考えだ。

 国内線、国際線、貨物、ボーディングブリッジ、駐機場までかなり広範囲にわたって拡張が必要との考えを示したもので、全体のレイアウトは国の土地であるためビル会社の考えだけで計画はできないが、今後の需要動向によって、大がかりな増築となる可能性がある。

■独自に拡張、沖展も睨む 来年は容量を100万人上回る

【解説】 那覇空港ビルディングは九九年の開業以来、利益を出しており、増築に向けた体力がある。

 需要を上回って乗降客が増えているのは沖縄観光が好調だからだ。政府は那覇空港の需要予測を今年(〇五年)、国内線千三百万人、国際線七十万人、航空貨物三十万トンとし、概ねこれに応じられるビルを建設した。昨年の国内線乗降客が千二百四十六万人、国際線が二十七万人となり、国際線は見込みを下回っている。しかし、国内線は予測通りに伸び、今年乗降客は千三百二十万人程度となりそうな勢いだ。政府の需要予測をやや上回るものとなるが、次の計画が必要になるのも折り込みずみ。国内線ビルの容量年間千三百万人は、旧ターミナルに比べて相当余裕のある設計になっているが、需要は今後も増え続け、来年には千四百万人を越える。いずれ拡張する必要に迫られ、大がかりな拡張が現実のものになってきた。

 那覇空港ビルディング株式会社は同社の四割の株式を保有する那覇空港ターミナル株式会社との間でゴタゴタがあったが、那覇空港ターミナルが解散することになり、独自路線を打ち出しやすくなった模様だ。

 那覇空港ターミナルは旧空港ターミナルビルを経営していたが、新ビル建設にあたって新ビル会社の四割の株式を保有。人事などでもめた。これまで国際線ビルの管理を行ってきたが、昨年には国際線ビルを新会社が引き取り、日常業務はほとんどなくなっていた。

 今年になって、旧ターミナルの有力株主から、「業務がなくなったのに存続するなら資産が目減りする一方、役割は終えており解散すべき」と求められ、これに対し旧ターミナル社長らが株主を訴えるという事態に発展した。しかし、旧ターミナルは六月末の株主総会で解散が決まった。

 なお、那覇空港は平行滑走路の沖合展開など拡張の検討が新振計に盛り込まれており、那覇空港調査連絡調整会議(国交省、内閣府、沖縄県で構成)が〇七年度に結論を出す。沖合展開が決定すると、沖縄への投資が大いに加速するのは間違いない。


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県 観光収入を遡及修正

■従来収入を大幅に減額

 県観光商工部は観光収入を過去に遡って下方修正した。従来発表で最大四千六百七十三億円(九九年)だったのが三千八百七億円と九百億円近くも減額となる。

 県は〇一年に観光消費の集計方法を変更した。それまで宿泊施設に置いたアンケートはがきに、観光客に記入してもらったものを集計していた。この消費額推計方法に課題があったとして、〇一年からはがき方式を改め、航空乗客アンケート調査(機内、三年に一回)と空港内アンケート(三年に二回)に変更した。

 変更前のアンケートでは交通費に県外からの航空運賃が混入していた可能性があるとし、一九七六年から九九年までの交通費を、〇一年以降の交通費にあわせ、およそ半額に修正した。また、娯楽費、その他の消費も減額修正した。

 この結果、従来一人当たり観光消費額が十一万円程度の時期が長期にわたって続いていたが、最大九万二千円まで減額修正となった。

 これに応じて、県民経済計算の移輸入額も修正され、県内GDPの数値も変更になる。県の観光収入調査は〇二年以降も団体・パック旅行参加費のうち県内消費額となる金額を算出し、観光客一人当たりの県内消費額に反映させるなど推計精度の向上を図っている。推計精度は向上したが、時系列の接続性が失われたとして、過去に遡って観光客一人当たりの県内消費額、観光収入を修正した。修正された数値は表(略)の通り。修正が観光収入にどの程度影響があったかのグラフも示した。


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供給増やせば需要つく

■JAL坂井支店長が沖縄の好調要因を分析

 沖縄観光前半の好調要因についてJAL沖縄支店の坂井博支店長(写真)は「特に目立つ好調要因がなく、沖縄の魅力そのもの」ではないかという。

《本紙》 前半の沖縄観光は非常に好調だ。後半も落ち込む要因はなさそうだ。

《坂井》 明らかに沖縄の一人勝ちだ。JALツアーズの最新の予約状況(七月二十一日現在)を見ると、七月一一八・九%、八月一〇八・四%、九月は八六・五%となっている。

 七月以降、北海道も良い。七月一二四%、八月一一二%、九月一〇〇%と価格を下げて前年の大幅な落ち込みを挽回している。また、九州も価格面で調整に入って頑張っている。

 前半は万博で四月以降を懸念していたが、沖縄への影響はなかった。万博は東京ディズニーランドに影響した。ファミリー層の短期の旅行とバッティングしている。

《本紙》 価格が下がって好調なのではないか。あるいは好調なので価格を上げる動きにつながらないか。

《坂井》 航空会社は上げていない。ホテルは高級ホテルの単価は大きいが、全般に価格は大きく上がっていない。沖縄の場合、単価を維持し、それに需要もついてきている。これは質と量の観点から極めて力強い動きを示しているといえる。

《本紙》 その好調の要因だが。

《坂井》 前半の伸びはすごい。何が好調要因なのか、分からない。四〜六月は苦戦すると思っていたが、極めて好調だった。しかも価格は維持されている。

 一般にいわれているのはDFS効果、リゾート施設の増加だ。これらはパンフレットに掲出され、その効果はある。東京、大阪にはこれで動く需要は必ずある。しかしそれだけでこれほど伸びるだろうか。

 また、スマトラ沖の地震で一時的に東南アジアの需要が減少した。影響したのはプーケット、デンパサール、モルジブなどだが、この影響はすでに落ち着いていて、沖縄の四〜六月の好調の要因とはならないだろう。

 中国の政治問題は海外旅行に影響を与えたが、中国の代替に沖縄が選ばれたとは考えにくい。

 さらに、夏休みの沖縄も好調だ。

 というわけで、好調の理由はこれだというものが見当たらない。飛行機、ホテルのキャパシティーがあれば、根強い沖縄に対するファンダメンタルな魅力があり、国内ツーリストの強い志向を受け入れられる。つまり、キャパがあれば需要はついてくるということになる。

《本紙》 結論のようだ。

《坂井》 沖縄に魅力があれば、キャパがあれば、需要はついてくる。そして、沖縄には魅力がある。県外のツーリストには沖縄に潜在的な魅力があることの証明だと思う。

 福岡の千室規模のホテルをJALグループが運営しているが、七月のサマーキャンペーンは、沖縄フェアだった。

《本紙》 どういうことか。象徴的な出来事のようだ。

《坂井》 沖縄支店として最大限に協力したが、福岡のホテルが自社のプロモーションに沖縄を活用するということは、これまでなかったのではないか。沖縄にそれだけ情報発信力があること、人気があることを示す典型的な例だ。

 沖縄県の産業としての観光政策は誘客活動や熱意が他の県よりはるかに優れているといえる。東京で知事を担ぎ出して感謝の夕べを行う県は他にない。このことの評価は高い。

 国際リゾートを打ち出し、最近の中国での路線開設の要請など完全に沖縄は観光立県を意識して動いていて、その象徴に見える。

 観光リゾート局から観光商工部に組織替えしたところなども日本で一番進んだ観光行政を行っていると評価されている。具体的なアクションをとっており、頑張っているという印象だ。これをぜひ継続して欲しい。(聞き手は本紙・渡久地明)


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