第701号(2006年6月1日号)


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新ブランドホテルに着手 かりゆしグループ

 かりゆしグループの平良朝敬CEO(写真)にマリオット誘致と売却のいきさつ、今後のかりゆしグループの展望について聞いた。(本紙・渡久地明)

■マリオットで価値高まる 交渉に4条件、ローンスターが理解

 《本紙》 最近の沖縄のホテル構想ラッシュ、特に外資の進出ラッシュの要因をどう見ているか。

 《平良》 観光地が成熟してくると、外資など大型資本が注目するのは当然の成り行きと見る。ただファンド系は投資を目的にしている。マリオットやウェスティンなどホテル経営を本業としているところがどんどん入ってくるといいと思う。

 《本紙》 世界ブランドのマリオットを誘致した。

 沖縄の魅力が高まっているという事実を見過ごすわけには行かない。地元ホテルはそれに応じた事業展開を考えるべきだ。進出企業に飲み込まれる心配もあるが、そうならないよう努力すべきだと思っている。努力なくして進出企業に飲み込まれるのがいやだというなら、ホテル業をやめるべきだろう。

 《平良》 ホテル建設前から有力世界チェーンを持ってこようと考えていた。売ることを考えていたのではない。

 アジア全体を見て、沖縄の底上げを図るべきだ。かりゆしブランドは沖縄にある一つのブランドというだけだ。沖縄にどんなホテルがあるかは沖縄の価値を決める重要な要素だ。世界ブランドがある地域は注目される。

 ホテルを建設しながら提携可能な世界ブランドを探していた。四ブランドの候補があったが、ぎりぎりオープン直前にマリオットに決めた。

 《本紙》 マリオットとタフな交渉をしている話は聞いていた。なぜ売却ということになったのか。

 《平良》 昨年四月にマリオットをオープンさせ、沖縄観光の質の向上のための客室と料金を設定したが、三ヶ月経過したところで、そこまで支出できる需要がまだ沖縄には向かっていないということが分かった。しかし、自分の手で価格を下げたくなかった。この価格設定で設計したホテルだ。もし継続してくれる人がいれば価格の変更に注文をつけることはない。

 売却を考え始めたのはこの時だ。かりゆしグループは双子の赤字を抱えきれない。かりゆしアーバンの累積赤字が四十億円に達しようとしている。さらに年間五〜六億円と予想されるマリオットの赤字を抱えられない。

 どちらか一つを手放さなければならなかった。ぼくが選んだのはマリオットを手放すということだ。これは経営判断だ。ホテルの価値はマリオットの方が高い。一番いいときに売却した。ただし、従業員をどうするかを考えなければならない。

 そこで、マリオット売却の条件は四つあった。まず従業員の処遇だ。そのまま引き継いで欲しい。第二にマリオットブランドの継承だ。第三にかりゆしグループとの業務提携だ。最後にホテル価格という順番だ。

 四つの条件をパーフェクトに満たしたのがローンスターだった。昨年六月から国内一、外資三の四つのファンドから申し入れがあり、十一月末にローンスターと基本合意に達した。今年、三月二十九日にクロージング、売買成立となった。

 かりゆしSHRオペレーションズというホテル運営会社を出資比率五〇対五〇で設立し、従業員は全員継続雇用することになった。

 マリオットブランドもそのまま継承し、かりゆしグループとの業務提携も実行に移された。

 最後の価格面ではローンスターは三番手だったが、友好的な提携となり、十分満足している。

 世界ブランドのホテルを沖縄に持ってきたいという夢、それに応じて百人の従業員が本土から沖縄に夢を持って移り住んだ。その夢を壊すわけにはいかない。これが本音だ。

 《本紙》 アーバンの撤収も考えたのか。

 《平良》 アーバンは永遠に赤字が出るホテルだ。大がかりなテコ入れが必要だ。

 《本紙》 今後の展開は。 ■資金調達の選択肢広がる 魅力的なホテルつくる

 《平良》 沖縄のエンターテイメントに何をメインに据えたらよいのかを考えてきた。カジノもエンターテイメントだが、それは別の人がやる。ぼくはカジノ以外で、アジア規模で沖縄文化が生きてくるものをつくりたい。七月には記者発表できると思うが、三千席規模のエンターテイメントを考えている。それに隣接して百六ルームのEXESリゾートという新たなホテルブランドを展開する。客室は五六〜六〇u、オーシャンスパの横に建設する。来年一月に着工し、〇八年六月のオープン予定だ。オーシャンのロビー、各レストランはいま全面改装中で、年内に完了すると新しいホテルに着手できる。

 年内にはまたアーバンの方向性が見えてくる。それが見えればリニューアルに走る。

 《本紙》 アーバンは永遠に赤字だといっていたが。

 《平良》 開業十一年、家賃方式では難しいという結論だ。年間四億円の家賃を支払っている。

 《本紙》 十一年で四十億円の家賃なら、自前で新しいホテルができた。それで、アーバンを買い取るという構想も出てくるわけだ。

 《平良》 ホテル部分の区分所有の交渉中だが、これは相手のある話だ。相手が断れば撤収だが、交渉がまとまるよう努力し、リニューアルしたい。単純な経営判断だ。

 《本紙》 よく分かった。非常に明快だ。かりゆし琉球の隣にホテル建設の構想もある。これは再開発がスタートし、完了するまで数年先の話になりそうだ。

 《平良》 その通り。

 《本紙》 資金調達の方法などひところと様変わりしている。五月末にはシンジケートローンを組んで資金調達している。

 《平良》 金融商品の選択の幅が広がった。われわれが市場から資金を調達しようとしたらこれまでは上場しなければならなかったのが、上場しなくとも金融商品が多彩にあって、資金は得やすくなっている。これまでは担保を準備して銀行からの借り入れ以外の道がなかったのを、ファンドが投資家を集め、事業計画が魅力的なら投資が実行される。

 《本紙》 魅力的な計画を立てるということそのものが面白い。

 《平良》 沖縄の観光産業には可能性がある。日本では五本の指に入る魅力的な地域だ。観光面では東京、京都、沖縄と上位三位の中に入っていると常々言っている。

 《本紙》 ファンドはすでにあるホテルを買っていて、新たにホテルを建設するというところまでいってないが、なぜか。

 《平良》 これから建設にも着手するだろう。ただし、ファンドは開発が得意ではない。いままでは全国で経営が行き詰まったところを買っていたが、これからは良いところに投資するようになるだろう。そのなかで、開発が得意な企業にチャンスがでてくる。

 ホテルは装置産業であり、マリオットは契約で十五年間、沖縄でブランドを展開する。たまたま建物はぼくが造ったが、この建物を外に持ち出すことはできない。できたこと自体が沖縄の財産だ。

 かりゆしグループはこれまでにいくつもホテルを開業してきた。そのノウハウを活用していく。ホテルのノウハウばかりでなく、エンターテイメントのノウハウを持っている人たちと組めばエンターテイメント事業も成り立ち、ファンドの投資も得られる。エンターテイメントのリスクをその分野のプロが負い、ホテルのリスクはわれわれが負担すると複合的な施設が成り立つ。

 《本紙》 沖縄の可能性が高まると同時に資金も得やすくなっている。県内の他のホテルにも同様のチャンスがあるはずだが。

 《平良》 もちろんあるが、あまり認識されていないのではないか。同業者間ではほとんど話題になることがない。マスコミもホテル売却の話が中心で、かりゆしグループの将来展望を話題にする人はいなかった。

 新施設は二十四時間リゾート客を眠らせない楽しい演出とするつもりだ。新しいブランドはホテルとエンターテイメントを組み合わせて、面白いものになるのでぜひ注目して欲しい。


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大連雑技団、1ヶ月の沖縄初公演

■トップ沖縄が主催 7、8月に県内6会場で22回

 中国雑技団の最高峰大連雑技団の沖縄初公演が七月十五日の沖縄コンベンションセンターを皮切りに八月十日までの一ヶ月間、県内六会場で大規模に催される。主催のトップ沖縄(那覇市、大城弘代表)には六月八日、一〇時の予約開始と同時に申込の電話が殺到した。

 トップ沖縄は創業以来、地域の老人会などを中心にお年寄りの旅行を提供して二十五年になる。大城代表は「楽しく、凄い世界のスーパーエンターテイメントをできるだけ多くの高齢者に見せたい」と企画を練り上げ実現。「県内の家族連れや期間中に沖縄を訪れた観光客にも見て欲しい」という。

 中国大連華夏歌舞団は五百人の団員を擁する中国トップクラスのエンターテイメント集団で、世界中で公演を行っている。幼少の頃から鍛えられたアクロバティックな舞技は世界第一級の賞賛を得ている。沖縄公演は今回がはじめて。総勢二十一人が来沖する。

 公演スケジュールは七月十五、十六日が沖縄コンベンションセンター劇場棟、一四時〜と一九時〜の一日二回公演。初公演記念に航空券やホテル宿泊券が当たる抽選会も開く。

 十九、二十日は沖縄市民会館。一四時〜、一九時〜の一日二回公演。

 二十二、二十三日はうるま市民会館。一四時〜、一九時〜の一日二回公演。

 二十六、二十九、三十日は県立郷土劇場。一四時〜、一九時〜の一日二回公演。

 八月五日は那覇市民会館。一四時〜、一九時〜の二回公演。

 八月十日に名護市民会館。一四時〜、一九時〜の二回公演。

 全席指定でコンベンションセンターの前売り入場料金はS席四千五百円、A席四千円、B席三千円などと手に入れやすい設定としている。販売は各プレイガイド、ローソン各店、トップ沖縄は電話〇九八(八五九)八八五五。

 大城代表(写真)に聞いた。

■お年寄りに見せたい、大城代表 「2万人集客目指す」

 《本紙》 大連雑技団は沖縄では初めての公演となる。

 《大城》 中国最高峰のエンターテイメントショーだ。世界中で公演をしているチームが来沖する。いま、フランスで公演中でそれが終わると沖縄に来る。沖縄の次は京都だ。

 《本紙》 キッカケは。

 《大城》 トップ沖縄は創業以来お年寄りの県内・国内旅行を中心に楽しく、喜ばれる旅行を提供してきた。沖縄にもさまざまなショーや観光地があって、ツアーを組んできた。しかし、四〇〇〇年の歴史のある中国のショーも見せてあげたい。お年寄りがなかなか海外に出掛けられないなら、向こうに来てもらおうと。県内各地の老人クラブなど団体にはバスの送迎付きで見てもらう。

 また、わたしは沖縄県の日中友好協会の会員だ。日中友好にも貢献したいと思う。

 《本紙》 価格もかなり安い。

 《大城》 孫を連れて、家族で中国の伝統あるショーを見て欲しい。また、トップ沖縄は全国旅行業協会の会員だ。全旅協に協力をお願いして、県外からの観光客も夕食後にショーを見て欲しい。創業以来、トップ沖縄の旅行に参加していただいたお年寄りへの恩返しの意味も込めた価格設定にした。

 《本紙》 電話が鳴りっぱなしだ。

 《大城》 一ヶ月という劇場公演を成功させるには全社一丸となって慎重な準備が必要だ。わたし自身はかつて天久にあった迎賓館で働き、トップ沖縄でもショーを見せるツアーを中心に据えてきた。その上であらゆるショープロダクションの意見を聞き、五百人の市場リサーチを行った結果、八割が見たいといい、老人クラブでもぜひ見たいという声が圧倒的だった。

 日常業務で中国雑技団を連れてくるとPRしながら、準備を整えた。全二十二回公演の期間中、厳正に見て一万五千人の入場を見込んでいる。お年寄り五千人、マスメディアでのPRと宣伝で一万五千人、計二万人の集客を目標にしたい。

 トップ沖縄は「社員(添乗員)が目的地で徹底的にお客様を喜ばせる。たとえば添乗員が役者の扮装をして芝居まがいのことをしたり、民謡を歌う。貸し切りバスの中から笑いが絶えない。年輩のお客様は入れ歯を落として笑い転げる。『とっても面白かったからもう一度行く』という高年齢のお客様でトップ沖縄は人気の的だ」(全旅協・堤朗沖縄支部長、本紙第547号)との評価が定着してい る。

 旅行企画では国立おきなわ劇場オープン時に琉球芸能公演を企画・主催し、四日間で老人クラブを中心に二千六百人を集客した実績がある。十年前に始めた浜比嘉遊覧は延べ一万人以上を送客、東村つつじ園のオープンには月間四千人を送客、ゴールデンおきなわ(六千五百トン)の慶良間遊覧、十回以上となる豪華客船をチャーターしての屋久島の旅三日間、県内ホテル・劇場での公演は二十年で延べ百回開催、などの実績がある。


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ラグナガーデン ホテルマンに俳優養成講座

■講師に小澤氏 演技修得し、好感度上がる

 エンターテイメントホテルを打ち出しているラグナガーデンホテルは沖縄タレントアカデミーの小澤公平代表(写真)を講師に従業員に俳優養成講座を始めた。

 「映画やコンサートと同じように、ホテル滞在後に楽しかった、また来たい、と思わせるサービスは俳優養成学校の手法が最も適している。試験的に養成したところ、大きな成果があり、現在六ヶ月かけて二期生を養成中」(東恩納盛雄宿泊支配人)だ。

 昨年の講座の結果、受講者の物腰やしゃべり方が大きく変わり、特にクレーム処理で引っ込みがちだった若手が、積極的に前に出て対応するようになったという。

 このため、今年から本格的に同講座をホテルマン教育に導入し、二期目がスタートした。

 俳優になるための心構えは、自分がカメラの前でどのように演技をするか、相手から好感を持たれるような仕種や視線などのテクニックをどう身につけるかということがあるが、それらのテクニックはホテルマンにも必要。身につけると好感度が抜群に良くなる。

 同時に、「演技は真心がなければできない。真心が自然に出てくるようになれば、もう教えることはだいたい教えたと言うことになる」「だれでも真心はあるのに、それを表現する演技を身につけていない。それを教える。同時に考えさせる。セリフを忘れたときにどうアドリブを出していくかが大切だ。それを考えさせる」(小澤代表)という。

 小澤代表は森重久弥さんらに演技を学び、舞台経験も長い。沖縄の師弟では、いまや視聴率の女王となった仲間由紀恵さんらを輩出している。ラグナガーデンでの、自らの経験を示しながらの講義は面白い。教え込むのは一人ひとりのホテルマンが主役であるということ。

 「ナカイ君がホテルのベルボーイの役を演じて、主人公になるドラマが作れるでしょう。ホテルマンやホテルウーマンは映画の主役。カメラの代わりにお客さんの目があるだけ。プロとしてお客を喜ばせておカネを取る。そのための演技を身につける。ホテルマンも俳優と同じです」という。

 東恩納さんは「講座を受けるとみるみる自信がついて、宿泊客からの反応はとてもいい」という。もともとラグナは積極的に宿泊客に声をかけるという方針で好感度を高め、リピーターを増やしてきた。それに磨きがかかっている。「ホテルは映画やコンサートと同じように、滞在して帰るときには楽しかった、という実感を持ってもらうことが大切だ。ホテル全体がエンターテイメントというのはこの意味」という。「ホテルだけでなく、あらゆる場面で応用可能で、沖縄全体に広まって欲しい」と東恩納さんはいう。

 従来の従業員サービス講座や接遇講座、ホテルマニュアルには見られなかった、新しい観光業界の取り組みとして注目される。


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